どうしても欲しかったモノ1
「開運!なんでも鑑定団」という番組があるが、毎週かならず見ている。
視聴者が色んな骨董品などを持ち込んで鑑定してもらうのだが、入手したエピソードの中で、「お宝と眼が合った瞬間、連れて帰ってと語りかけてきた」ので購入してしまったという類の話が語られることがあり、そんなときに限って、本人の思う価値と鑑定額とのギャップが大きいことが多く、他人事ながら大笑いしてしまう。
そういう自分も、収集癖があるわけではないが、モノを見た瞬間、ずきゅんとハートを射抜かれるというか、どうしても手に入れたくなることがある。
自転車に興味を持ち始めたころだから、45年くらい前になると思うが、あるとき通い始めたショップに行くと、誰かのオーダーされたスポルティーフが、ほぼ組み上がった状態で展示されていた。
本体は濃紺であったように思う。
カッコいいなあと思ってみていると、ショップの親父さんがパーツの事などをいろいろと説明してくれた。
そのとき、なかなか手に入らないリアメカを使っているんだという話だったが、それが、ユーレー社のジュビリーだった。
国内のマスプロメーカーの自転車には横型のサンツアーのリアメカが定番といってもいい時代だったと思うので、初心者の私にとって、ジュビリーを見た時の驚きは大きかった。
とても小さなボディに、むき出しのテンションスプリングやリターンスプリングが組み合わされ、軽量化とデザインが見事に調和し、工芸品のようであった。
既にフランス製パーツが斜陽の時期だったと思うが、自分にとってはその工芸品のような見た目は新鮮で忘れられないものとなった。
それから、ジュビリーを何とか手に入れたいと思い続けていたが、時間がたてばたつほど、骨董品的価値が付いて高価なものとなっていくので、20年ほど前だろうか、思いっ切って購入した。
しばらくは、希少なオオクワガタを手に入れたかのように、手のひらの上で眺めたり、柔らかい布で磨いたりと、大切に扱っていたが、やはりパーツは使ってこそであるとの考えから、半年ほど、スポルティーフに装着して使ってみた。
変速性能としては、客観的に見ればウーンとなるところだが、あばたもえくぼというやつだ。
嫌いにならないうちに外して保管することとした。
自分には自転車部品やメーカーについては、知識や経験がなくこれ以上語ることが出来ないが、ただただデザインの美しさだけで強力に引き付けられたパーツでありました。












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