自転車徘徊紀行(第29話)八代平野の干拓地を走る(1)
八代平野の2/3は江戸時代以降に進められてきた干拓事業で出来たらしい。
干拓の歴史は熊本県のホームページの下の資料に詳しい。
私は八代平野の真っただ中に暮らすのだが、ただただ退屈な畑や田んぼの広がる平地は自転車で走るには面白くないと思っていた。
それでも、身体がなまらないよう、なるべく毎日の短時間ポタリングをしていると、それなりに面白いと思うようになった。
干拓地の海際はほとんどが防潮堤になっているが、大体は狭いながらも防潮堤に沿った道が通じている。
そのような道を走ると、穏やかな内海と反対側には、だだっ広い畑が広がり、実に開放的な気分になれるのだ。
海はお世辞にもキレイとは言えないくらい濁っているが、遠くを見ることで現実から目を背けよう。
今回、氷川町の氷川と宇城市の砂川に挟まれた不知火干拓を紹介したい。
地図で示すと、下の丸で囲った地域で、昭和42年に出来た新しい干拓地だ。
不知火海に北西方向に四角い形で突き出ているが、干潮時は対岸の宇土半島に歩いて渡れそうなくらい近い。
さて、小学生の頃、日曜夜の青春ドラマにあこがれた世代としては、真っ赤な夕日を特別な思いで見てしまうのだが、
不知火干拓からも、遠くの天草諸島に沈む赤い夕日が見られ、それを狙って夕刻走ることとした。
氷川に沿ってひたすら海を目指し、海か川か区別がつかないあたりにある防潮堤の扉付近で、多くの野良猫が生活しているところがある。
野良猫たちは人家から離れたこのあたりで捨てられたのだろうか、かわいそうな気がするが餌を与えるわけにはいかない。
しかし、毎日のように車でキャットフードを与えて回っている人がおり、野良猫たちは増え続けているように見える。
この時も生まれて数か月くらいか、かなり小さな猫が何匹もいた。
防潮堤の外側には波消しブロックが延々と並べられている。
野良猫たちはブロックの隙間で生活しているようだ。
干拓地の西の端まで来ると、海向こうの宇土半島がごく近い距離にあり、道の駅の建物や、松合地区の白壁の家々が見え、海沿いの国道をひっきりなしに車が通る様子が一望できる。
双眼鏡を覗くと、謎の光、不知火の展望地として有名な永尾劔神社の鳥居が海の中に建っているのがはっきり見える。
一か所、防波堤に囲まれた漁船が停泊する場所がある。
家から10キロの距離もないところだが、夕日を背景に小さな船が繋がれている様子は旅愁を感じる。
釣りに来たのであろう親子のシルエットがとてもよろしい。
防潮堤の内側に大きな池がある。
何度も何度も飛び跳ねている魚はボラであろうか。
しばらく行くと、砂川を左岸に見て走る直線の道路となる。
新幹線の橋脚の間を抜けて、矢山岳を正面に見ながら走る。
数週間前くらいから、砂川には鴨の群れが見られるようになった。
今年は鳥インフルエンザの流行はあまり聞かない気がするが、多くの冬鳥が到来してほしいと思うのでありました。
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