ウェアラブルスピーカーの試作を振り返る(2)

ネックスピーカー型

その1:骨伝導方式

市場ではネックスピーカーがあたりまえになっていた2019年頃から、市販品に負けないものを作ってやろうと、検討を始めたので、ネックスピーカーの形から検討をスタートした。

市販品の低音不足を補うには?と考えた時、自然と2.1chにしてみようとなった。
過去の記事では触れていないが、最初は次のように考えていた。

低音用のスピーカーユニットを設けるが、それが発生する低音域の音を聴かせるのは当然として、振動効果も利用しよう。
振動効果は、当時のソニー機が搭載していたパッシブラジエータ、または、シャープ機が搭載していた蛇腹(パッシブラジエータと同じ原理で動く)で生成しよう。

結局、後者を採用し、当初は蛇腹をむき出しにして、装着している人の首周りの皮膚に直接押し当てようと考えた。
簡単に原理を描くと次のようになる。(低音用スピーカーまわりの図で、左右スピーカーは省略している)

蛇腹は体に押し当てられているので、自由には動けないが、蛇腹を動かそうとする音圧が身体に伝達し、振動となって、皮膚から筋肉、筋肉から骨、骨から聴覚器官に伝わることで、低音が聴こえる仕組みだ。
同時に耳からも低音が入り、重厚感のある低音を感じることが出来る。
いわゆる骨伝導を利用したものだ。

スピーカーやダクト、蛇腹の位置関係は上の図と大分異なるが、この原理で下の試作品を作った。

低音用スピーカーは後頭部の青いケース内に配置し、透明なチューブが左右に2本づつ伸びて、その先に低音の出口と蛇腹が位置する。
写真で分かりにくいが、丸い左右スピーカーの近くに蛇腹がある。
首にかけると蛇腹が喉付近を左右から挟むように当たる仕組みだ。

これは、確かに低音がズンズン頭に響いたのだが、低音以外も響きすぎて、やり過ぎ感があった。
既に、解体されているので、今は再確認できないのが残念だ。
そこで、身体に直接加える振動は低域の一番低い帯域に限定した方が良いと考えた。

 

その2:骨伝導方式改善版

皮膚に振動を加える前段階に、蛇腹を1段増やそうという考えだ。
増やした蛇腹は本体を揺さぶり、間接的に振動を伝える役割を担い、その後段の蛇腹は体に触れて直接振動を伝えるものだ。

 

下が上記の仕組みを左右に配置した試作だ。
左右のアームの中ほどに低音用のスピーカーが内蔵されている。
後ろに左右2個づつ計4個の蛇腹が、首の後ろに当たるように配置されている。
この部分と上記低音用スピーカーとの間に蛇腹が見えている。

結果は後ろの4個の蛇腹の効果が薄く、すぐに諦めた。

まとめ

骨伝導を利用した良い方法だと思って取り組んだが、効果が強過ぎたり弱過ぎたりで、早々とあきらめたが、時間が出来たらもう一度トライしてみたい気がする。
皮膚へ当てる位置など、工夫の余地がありそうだし、2.0chで考えてみたい気もする。

ネックスピーカー型でのトライはもう少し続く。

つづく