自転車徘徊紀行(第36話)ランドナーに感謝!

半分引退したようなランドナーを所有しており、近場の買い物程度に使用している。
長く乗り続けた自転車は、単なるモノ以上の存在になっていて、頑張って動き続けてくれていることに対して、たまには感謝しなければいけないと思う。

このランドナーは社会人になって半年くらいたって購入したので、かれこれ40年くらい乗っている。
熊本市内のスポーツサイクルクシにオーダーし、TOEI社のスタンダードのラグレスフレームに実用的な部品で構成してもらった。
広島県で働き始めた私のもとに、送られてきた段ボール箱を開梱するときのワクワク感は今でもよみがえる。
そして、組み立てた時の純白のフレームがとてもまぶしかった。

それから、20年くらいは大事に扱いながらも、未舗装の道をガンガンに走り回った。
当然、経年変化でパーツが傷んだり壊れたりで、オリジナルのパーツで残っているものはほとんど無くなってしまった。
白いフレームも傷だらけになったので、戦車のような緑色に塗り替えた。

やがて、2代目のランドナーを入手するなどしたため、通勤やポタリング仕様の自転車に改造した。
具体的にはフロントギアをシングルにし、チェーンカバーを付けて、ペダルのストラップも外した。
かわいそうな仕打ちをしたような気もしたが、単身赴任先にも持参して、通勤の足としてずっと働き続けてくれた。
私が奈良県の単身赴任先で定年を迎えようかとする頃、通勤の途上、キコキコと軋むような音を発し始めた。
あちこちのネジを締めたりしてみたが、軋み音は治らなかった。

原因が判明したのは、一週間以上過ぎてからだった。
フレームの後ろのエンド(車輪の軸を受け止めるところ)に亀裂が入っていたのだ。
近くにある溶接もやっているようなバイク屋に持ち込んだところ、フレームの製造メーカーに持ち込まないと駄目と言われた。
私が社会人になってすぐにやってきたランドナーが、私が定年を迎える直前にくたばりかけている。
しかし、ほかに交通手段が無いので、通勤のために動いてもらわねばならない。
色々と考えた挙句、骨折したときの添え木よろしく、ホームセンターで購入したL字の金具を針金で縛りつけてみたところ、一応、軋み音は解消した。

亀裂箇所をL字金具で補強

大きい力には耐えれない状態と思われるので、優しく乗るようにしている。

イデアルの革サドルは崩壊寸前
TOEIのフレームは美しいと思う

手入れもろくにせずに写真を撮ってしまった。
骨董品のような壊れる寸前のランドナーであるが、私が言うのも何だが、とてもカッコいいと思う。
長年ありがとう、そしていつまでも動き続けてくれ!