柔軟BOXの共振対策(2)

前回報告の下の構造で実験してみた。
従来は柔らかく長い筒状のスポンジに対し、第1空気室から高い気圧の空気の出入りの特定の周波数とスポンジの伸び縮みとが共振する現象が発生していたのだろうと思う。
今回、スポンジで囲まれるのは空気圧程度では伸び縮みしないビニールチューブとのリング状の空間で、従来よりもかなり体積の小さい空間となり、上記の共振の発生条件が問題なくなると期待している。
具体的には、共振が発生する周波数がサブウーハーが受け持つ周波数帯より高い領域となるのではないかと考えている。

実験した結果から言うと、不快な共振は感じなかった。
身体に伝わって欲しい振動も低減するが、むしろちょうどよい具合になったと感じる。
従来は空気室の振動を身体に伝えていたが、修正後はバスレフのダクトの振動を感じていることになる。

今まで、柔軟BOXと呼んでいた部分が、ゴムホースとなり、バスレフのダクトが従来の柔軟BOXのスポンジとゴムホースの外壁で構成するわけだが、バスレフのダクトが柔らかい素材で構成されて、はたして、バスレフの機能を果たしているのだろうか?
バスレフの部分が空気圧で振動しているわけだから、その分、バスレフの出口から出入りする空気の勢いはかなり減ってしまうだろう。
そもそも、リング状のダクトなのでダクトの壁面の抵抗が増えて、空気の移動の効率は悪くなると思われる。

実際に、単一周波数で確認してみると、70~80Hz付近でバスレフのダクトからの空気の出入りが大きくなり、バスレフの働きはしていると思われる。
ただ、勢いはそれほどでもない。

いつも使わせてもらっている個人サイトのバスレフ共振周波数計算ソフトで確認しようとしたが、当然ながらリング状のダクトやスポンジのダクトなど対応されていないので、自分なりに、丸穴のダクトに変換してみたりしながら確認したが、実際とは大分合わないようだ。

結局、現物合わせで特性が良くなるよう、調整可能な部分は調整し、音圧の周波数特性を確認した。
装着時を想定した位置にマイクがくるようにして測定。

これを見ると、目標の低域60Hz付近も十分な音圧があり、全体的にもフラットな特性が得られており、試聴した感じでも良かった。

ビニールのチューブが入り若干重くなり、少し硬くなるが、それほど大きなデメリットではない。
この構造で進行することに決めた。

おわり