なんちゃってビオトープ
環境展望台というサイトの技術解説によれば、「ビオトープは、本来その地域にすむさまざまな野生生物が生息することができる空間のことで、「生物の生息空間」と訳される」とある。
15年ほど前になるが、息子が夜市で買ってきたミシシッピーアカミミガメを飼い続けている。
持ち帰ってきたときは、甲羅の長さが5cmくらいで可愛かったのに、今は20cm以上になってしまった。
2年前に関東から熊本へ引っ越すときは、どうしたものかと思案したが、いろいろ調べて、ゆうパックで送った。
真冬だったので、おとなしくしていたと思うが、真夏だったらどうなっていただろうか?
ついでに他の水辺の動物も飼おうと思い立ち、一年ほど前に近所のメダカの養殖販売を行っているところから、500円で5匹+おまけの1匹、計6匹のメダカを買ってきた。
しばらくすると卵を産み、元の6匹は少しずつ死んでいったが、代わりに稚魚があっという間に大きくなり、30匹くらいに増えた。
その子らが今年の春に産んだ卵が孵り、現在は数えきれないほどの沢山の稚魚がいる。
去年、メダカを飼っている大きなタライに藻がはびこるので、棒で巻き取っては庭に打ち捨てていた。
あるとき、ヤゴ(トンボの幼虫)が藻に交じっていた。
水から出して殺してしまうのも不憫だったので、衣類ケースを持ち出し、水を入れて、そこにどんどん藻を移すようにした。
衣類ケースの中で藻は更に繁殖するし、メダカのタライからも供給されるわで、衣類ケースの中は藻でびっしりと埋まってしまった。
何とも汚い感じになって、手を入れるのも躊躇する状態になった。
最初に目撃したヤゴは生きているのだろうか?
だんだん暑い時期になってきたので、衣類ケースの中の藻が腐ったり、ボーフラが湧いたりしないか気になり始めた時、衣類ケースの中に一匹のメダカが泳いでいるのを見つけた。
1cmほどの稚魚だが、生まれてすぐだと2mm程度であることを考えると、とても汚いと思っていた水の中でもちゃんと成長しているということだ。
しかし、どうやって混入したのだろうか?
タライの中には産み付け専用のスポンジを入れて、そこにたくさんの卵が産みつけられる。
そこから脱落した卵が藻についていたのだろうか?
そんなことを考えながら、衣類ケースに蔓延る藻の中を見ていると、きれいな水に住むはずのヤゴがあちこちにいるではないか。
いつの間にかヤゴが増えている。
飛んできたトンボが産み付けた卵が孵ったのに違いない。
わたしは思った。
汚いと思っていた衣類ケースの中は、自然の状態に近く、メダカとヤゴが生息しやすい環境なのだ。
別の小さめの容器の中の今年孵化した稚魚たちを、この衣類ケースの「なんちゃってビオトープ」に全部移した。
移して2,3週間経つが、稚魚たちは餌をやらなくても元気で成長が早い気がする。
よく目を凝らすと、小さなミジンコと思われる生物が動き回っているので、ヤゴやメダカはこのような生物を食べているのだろう。
先日、ポタリングに出かけようとして、なんちゃってビオトープを覗いてみると、ヤゴが這い出して羽化していた。
シオカラトンボだろうか? まだ身体が透明なので種類が分からない。
ポタリングから帰ると、トンボは既に飛び立っていた。
元気に戻って来いよ~。
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