ウェアラブルスピーカーの試作を振り返る(5)
前後重量分散型
その1:ダブルバスレフと柔軟BOXの思い付き的試作の繰り返し
デイパック型で背中の振動が感じにくいことと後ろの出っ張りが邪魔になる問題が分かった。
また、バスレフのチューブの長さによっては、耳障りな音になることも判明した。
後者の問題については、バスレフのチューブをあまり長くしないように、エンクロージャーの配置に考慮しなくてはいけない。
そこで思いついたのは、エンクロージャーとバスレフを2段シリアルにつなぐダブルバスレフ方式だ。
例えば、1段目を背中に配置、2段目を胸部に配置することによって、トータルのエンクロージャーの容積を稼ぐ。
これにより、2段目のバスレフのチューブを短くする算段だ。
私は、前後にエンクロージャーを振り分けるアイデアが気に入って、ネックスピーカーの様に肩に乗せる方式に再度こだわった。
前後に振り分けてうまく重量バランスを取れば、肩に乗せるだけで使えるだろうと考えたのだ。
そう考えてトライしたのが下の写真の試作。
下側の2つの四角の部分それぞれに低音用スピーカーと振動を生成する蛇腹が組み込まれており、装着した時、肩より少し下に配置される。
1段目のエンクロージャーもこの中に入っている。
ここから透明なバスレフのチューブが上方向(肩越しに胸に下りてくる)に延びて2段目のエンクロージャーに入り、2段目のエンクロージャーからは2段目のバスレフのチューブが左右交差しながら手前を向いて開口している。
背中も左右に振り分けてクッション材も入れているので、椅子にもたれてもゴツゴツして痛い感じではない。
ただ、これでは相変わらず振動するのは背中側だけであり、最初に上げた問題は解決しないのだ。
それならば、低音用のスピーカーと蛇腹を使った振動生成部と1段目のエンクロージャーを胸部に配置し、第2エンクロージャーを背面に配置しようと考えたのが下の写真の試作品だ。
左側のV字型の部分が2段目のエンクロージャーだ。
この時、背中に部品が来ても、柔らかければソファーにもたれても違和感無かろうと思いついたのが柔軟BOXである。
つまり、Ⅴ字型の部分には緑色の園芸用ホースが内蔵されているのだ。
上の試作で何となく良い感触だったのだが、蛇腹を使った振動生成部だけ前に残し、スピーカーを後ろに配置したらどうだと試したのが下の写真の試作だ。
正直、上二つは似たような感じであった。
園芸用のホースは分厚いためかそれほど振動を感じなかったが、ソファーにもたれた時には、身体に良く響いた。
柔軟BOXの材質や配置を工夫すれば、ものになるのではないか。
そう感じた私は、懲りもせず、更に試作を繰り返すのであった。
つづく
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